陽ざしにはまだ夏の名残もありますが、日の長さも随分と短くなり、秋の匂いや気持ちの良い風が感じられるようになりました。
皆様、いかがお過ごしでしょうか。
さっそくですが皆様、ピロリ菌とは何かご存知でしょうか。
ピロリ菌とは胃の粘膜に生息しているらせんの形をした細菌です。一方の端に鞭毛と呼ばれる毛が4〜8本付いていて、活発に運動することができます。
皆様もご存知のように胃には強い酸(胃酸)があるため、通常の菌は生息できません。
しかし、ピロリ菌の持つ「ウレアーゼ」という酵素はアルカリ性の環境にすることができるため、胃酸を中和することによってピロリ菌は胃の中に生息できるのです。
ピロリ菌は胃炎や胃潰瘍などの胃の病気に深く関わっており、ピロリ菌が感染した胃を放置してしまうと胃がんになるリスクも高くなります。

では、なぜピロリ菌に感染するのでしょうか?感染経路はまだはっきりとわかっていませんが、口を介した感染(経口感染)が大部分であろうと考えられています。上下水道が十分普及していなかった世代の方で高い感染率となっており、井戸水によってピロリ菌に感染する方もいらっしゃいます。
また、幼児期の胃の中は酸性が弱く、ピロリ菌が生きのびやすいため、ほとんどが乳幼児(5歳以下)に感染すると言われています。
そのため最近では母から子へなどの家庭内感染が疑われており、ピロリ菌に感染している大人から小さいお子様への食べ物の口移しなどには注意が必要です。
ここまでピロリ菌についてお話してきましたが、ピロリ菌は胃カメラを受けて頂くことで、医師の目からピロリ菌が感染してそうな胃なのかどうか観察することが可能です。
もし、胃カメラを受けてみてピロリ菌感染が疑わしいようであれば、胃カメラとは別にピロリ菌の検査をご案内することができます。
当院では、吐き出された息(呼気)を用いて検査する尿素呼気試験や便キットを用いた便中抗原測定検査でピロリ菌の検査を受けて頂くことができます。
※胃カメラを受けず、ピロリ菌の検査のみご希望の方は自費診療になりますのでご注意ください。
胃カメラを受けて半年以内かつ、胃カメラで萎縮性胃炎、胃十二指腸潰瘍などが認められた場合には保険でピロリ菌の検査を受けることが可能です。
※抗生剤や胃薬(PPI)を4週間以内に内服された方は、検査方法が限られていたり、すぐにピロリ菌の検査が出来ないこともございますので、医師や看護師と相談のもとご案内させていただきます。
また、診療日によっては尿素呼気試験ではなく、便中抗原測定検査をご案内することがございます。ご不便をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
また、ピロリ菌感染が陽性であった場合、当院で除菌薬について相談することもできます。
日本ヘリコバクター学会のガイドラインでは、ピロリ菌に関連する疾患の治療および予防のため、ピロリ菌感染者の方に除菌療法を受けることが勧められています。
《そのため以下のような流れとなります↓↓》
①胃カメラ検査実施
↓ ピロリ菌感染が疑わしい場合は
②尿素呼気試験または便中抗原測定検査にてピロリ菌感染の有無判定
↓ ピロリ菌陽性と診断されたら
③除菌薬内服
〈尿素呼気試験に使用する呼気採取バッグ〉

〈便中抗原測定検査に使用する便キット〉

当院では、胃カメラ検査を鎮静剤という眠たくなるお薬を使用し、個人差はございますがうとうとした状態で楽に受けて頂くことができます。
胃カメラを受けて頂き、ご自身の胃の状態を確認してみるのはいかがでしょうか?
両親がピロリ菌に感染していた、最近少し胃痛や胃もたれがある等、気になることがありましたらお気軽にお尋ね下さい。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。